2023/02/22 14:44
英国見聞録。ノスタルジックな英国に魅せられて。
長きに渡り英国に魅せられて時が経ちます。そのきっかけは音楽だったり映画だったり服だったり食器だったりインテリアだったり。その都度興味の対象は変わります。だけどその背景にあるものは何故かいつも英国なんです。
初めて乗った国際線の行き先はロンドンでした。成田とヒースローが直行便の運航が開始される年にヴァージンアトランティックに乗って憧れの地に旅立ちました。初めての海外旅行と英語もよくわからないまま、友達と勢いだけで行ったのを思い出します。
音楽少女だった私とメイクアップアーティストだった友人の共通点はヴィンテージ古着と雑貨好きで目指す聖地はもちろんカムデンタウンとキングスロードです。カムデンタウンはいたるところにテント村といわれるストールがあり、新品のものからジャンク、古着やアンティーク、古本と言葉がわからなくても好きなものを掘り出せるワンダーランドでした。
ロンドンの地下鉄は行きは使えても帰りは使えない場所なども多く、歩いて近隣の地下鉄の駅を利用するかバスを使うかどちらかです。そんなことも知らず駅に入れない!と、半強制的にバス路線など見方がわからないままダブルデッカー初体験したのも良い経験です。
今ではすっかり面影が無くなってしまいましたがキングスロードも大きなアンティキュリアスという古着や雑貨を扱う大きなモールがあり、60,70年代のヴィンテージの古着、帽子や鞄、靴など見てるだけでも楽しく、ノルタルジックで怪しい空間がなんとも言えず素敵でした。通りにはヴィヴィアンウェストウッドの店があるせいでしょうか?シェリーズの靴やマーチンの靴などわりとサブカルチャー色が強かった印象です。
60年代後半のロンドンのストリートで派生していったカルチャーはファッションや音楽、サイケデリックな芸術も取り入れ、世界中に一大ムーブメントを巻き起しました。それの震源はマリークワントだったかもしれなし、ヴィダルサスーンだったかもしれない。映画『欲望』『ナック』に出てくるスウィンギンロンドンな若者たちの背景にいつも感じるもの。それは”BIBA”の存在。サブカルを語るにこのブランドを避けては通れないでしょう。
1965年BIBAは労働階級者の女の子がおしゃれできる価格でモダンな服を提供したのが始まり。古い薬局を改装して作ったゴシックリバイバルなショップは瞬く間に人気になり、チャーチストリートからケンジントンハイストリートへ引っ越しする時はノルタルジック様式に懐古し、デパートをアールデコの美の神殿に作り上げました。これが伝説のBIG BIBAの始まりです。地下から屋上までこだわって作り上げた帝国は洋服、アクセサリー、帽子や化粧品、文具や日用品、そして食品や家具なども扱い、屋上にはルーフバルコニーやライブレストランなども揃っていました。
わずか数年でこの帝国は終焉を迎える事になりますが、この僅か数年で彗星のごとく現れ潰えてしまったブランドBIBAは今でも伝説として語り継がれています。だからでしょうか?ヴィンテージショップやノルタルジックな物に出会うとつい伝説の帝国の面影を探してしまうのです。
BIG BIBAの内装は今ではみることはできませんが、実はルーフガーデンだけはいまだ現存するのです。1階はmarks&spenserの食品など扱っていますがケンジントンルーフガーデンは、なんとなんとヴァージンアトランティックの統括がレストランやクラブなどしており今だBIBAの世界観を堪能できるんです。すごいです。
変わりゆく時代の中で変わってほしくないもの。守っていきたいもの。大事にしていきたいもの。紡いでいきたいもの。
伝説や思い出の中の物語など残して行けたらと思っております。