2023/03/16 10:37
絵の世界のティータイム。自給自足の暮らしを愉しむ。
お気に入りの場所や人生の転機となった出来事、あんなことやこんなこと思い出はいつも鮮明のようで曖昧で。
日常のひとこまだったり、何気ない会話だったり、カメラに収めてこなかった普段の出来事は記憶の中の片隅にあるだけなので新しい日常に更新されていきます。
人生100年時代と言われている今、時はどんどん変化していき、過去の常識もどんどん更新されていきます。あんなに日常的に傍にあったのに今ではその事柄が消え去ってしまうことにも驚きます。半世紀前の主婦は”家”と”庭”を守ることが最も大事な人生計画でした。仕事と言えば掃除、洗濯、料理、育児、裁縫、庭仕事、節約、歳時記など主婦の日常は日々家庭を守る事に大忙しでした。それはグランマ・モーゼスの絵からも伺えます。
グランマ・モーゼスの幼き当時、村中の人々が集まりメープルシロップを作ったり、キルトや石鹸、ロウソクづくり、作物の収穫、季節ごとみんなで行事をこなしていた事がわかります。モーゼスおばあさんの愛称で知られるアメリカの画家アンナ・メアリー・ロバートソン・モーゼスは1860年アメリカ生まれで1930年頃から暮らしたバーモンド州で絵を描き始めます。この時なんと70歳です。もともと刺繍やキルトなどの針仕事が好きでしていましたが、リュウマチで出来なくなり、リハビリを兼ねて油絵に打ち込むようになりました。101歳で亡くなるまでの30年間で描いた作品は1600点にものぼります。写真など残っていない当時の何気ない日常の暮らしを描いた作品は、幼い頃の記憶と想像を頼りに描いているのでしょう。その描写はなんとも愛くるしく、懐かしい。
*シュガリング・オフ